about
YAMAZAKI DISQUE CLUB




monthly LP record concert
Since 1954



 野菜でも果物でも生の方が新鮮で栄誉もあり、ビタミンも豊富で而も、そのものの真の味を持っていることは、子供でも知っている。音楽については如何であろうか。同程度の演奏なら勿論、"生"の方が優れていることは明らかである。だが最近の録音技術の進歩、再生装置の高度化によって現在のLPは大部分、演奏家のトップコンディションの演奏の缶詰といえる。音の缶詰をつくるため、演奏家自身を缶詰にして、(スタジオで) 弾きづめに弾いた、ということを聞いたが興味深い。あるいは、8分の演奏時間のものを録音するのにテープを120回切ったという。この様に、缶詰はいかに厳選され、吟味されているかがわかる。…しかし、ここで注意しなくてはならないことは、いかに口当たりがよくても缶詰はどこまでも缶詰で、生の果物とは違うということである。缶詰は季節外れに、随時珍味を食べることができるが、生はそういう具合にゆかない。音楽も全く同様である。生の熟した果物を食べるのが最上にきまっているが、結局缶詰に頼らざるを得ないのは限りある日常生活に於いて、金と暇と仕事の都合が、そうさせるのである。
- 1958年 50回記念誌より -


「CDは針音がなく奇麗で澄んだ音がする。でもLPにはCDでは聞けない音があり、深みがあって なぜか安心して聞ける。さしずめCDは蒸留水、LPはおいしい井戸水というところでしょうね」
- 1991年 クリニックマガジン 11月号より -

 山崎ディスク・クラブ創設者 野村 忠人(1918 - 2001)




 山崎ディスク・クラブが誕生して50年を数えることとなりました。
 この会が始まった1954年頃は今とは比べ物にならないくらい乏しい音楽環境だったと思います。50年たった今、世の中はいろんな音楽で溢れています。音楽会もありますし、家で手軽に音楽を聴くこともできるようになりました。時代と共に、音楽に求めるものが違ってきているとは思いますが、煩雑な日常から少し離れて、いい音楽に包まれる心地よさは昔も今も変りはないように思います。ディスク・クラブが連綿と続いてきているのはこの音楽の力、そして皆様の様々な形での御協力のお陰なのです。大きな節目でもある50周年、600回を新しいステップとして、これからも皆様と御一緒に 山崎ディスク・クラブの歩みを進めて参りたいと存じます。

- 2004年 50周年記念誌より -


 25周年記念誌に、父はこう書いております。
『来るものは迎え、去る者は追わず』この方針に変わりはありません。私が数年前ドイツ中世都市 ロマンティック街道の宝石といわれるローテンブルグを訪れた時、東山魁夷画伯の著書に載っていた 城門に刻まれた言葉
[ Pax intrantibus Salus exeuntibus ]
『歩みよるものにやすらぎを 去り行くものにしあわせを』
この言葉は私から離れません。世界共通語と云われる音楽を 心の糧としている者の集まりである山崎ディスク・クラブの例会は、皆さんの善意の差し入れや、楽しさ一杯、和気藹々とした雰囲気に包まれて、依然として月1回、所謂各駅停車でやって参ります。機関士が初老の域に入り、皆様の従来に倍するお力添えが必要かと思いますので、よろしくご鞭撻をおねがいします。

 父から私へと代は替わりましたが、ほぼ同じ年齢に達し、同じ境地に達した感があります。受け継いだこの方針のもと、これからも各駅にゆっくり下車して、味わいながら楽しみながら進めていきたいと思っております。どうぞこれからも楽しみにいらして下さい。
- 2009年 55周年記念誌より -


 山崎ディスク・クラブ代表 野村 直子







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